ベストスタートアップアワードの展望

mo4ma
13.12.24 06:31 PM - コメント

1.乱立気味のスタートアップ系コンテスト

日本の停滞と符号する様に起業も低迷が続く中、岸田政権時のスタートアップ政策を契機に高校生から社会人までを対象にする起業・創業に関する表彰制度(ビジコン)は物凄い勢いで乱立気味に増加しています。
草分けとして大学生を対象としたキャンパスベンチャーグランプリ(CVG)や高校生を対象としたマイナビキャリア甲子園が回を重ねていますが、小粒なビジネスプランが多く、応募者、審査員、後援組織、主催者ともども課題を有しています。
乱立気味のビジネスコンテストですが、多くのコンテストは応募数が100件に満たずスタートアップ政策に端を発した突貫的な取り組みが目に付き、ベンチャー予備軍である応募者の動機をくすぐる内容になっていません。
改めて表彰事業のパーパス(存在意義)および市場創造を後押しするコンセプト(具体的な価値)の再定義が必要です。
パーパスとコンセプトの一例
  関係者 パーパス(社会的意義)  コンセプト(具体的な価値)
 主催者(主催側)
  • ベンチャー(起業)市場の育成
  • ベンチャー(起業)人材の拡大と育成
  • 関係者(応募者、協業、VC、スポンサー)相互のエコシステム形成
  • よりよい 評価と競争原理の普及
  • 新市場創造に資するビジネステーマの設定
  • 応募内容と評価を共有し、継続的かつ複合的な挑戦を促進する仕組み
  • 公平かつ透明性のある評価基準を設け、健全な競争原理を促進
  • 国内外から多様な応募、アイデアを選出し、クリエイティブの競演を実現
 応募者(応募側)
  • 産業と市場とビジネスを知る機会
  • 果敢にチャレンジし、挫折し、成長し続けられる場所
  • ベンチャーならではの価値で既存企業と差別化
  • ベンチャーとしての新たな価値創造
  • 実践的な挑戦を通じて、自身のスキルと競争力を高める場の提供
  • グローバル市場を舞台に、公正で厳正な競争を通じたリアルな成長機会 
 審査員(審査側)
  • ベンチャー(起業)の的確な診断
  • ベンチャー支援の専門家(メンター・アドバイザー)の育成
  • 未来市場を見据えた視野と専門的な評価を通じた産業振興
  • 明確な評価基準と手法を駆使し、公正で信頼性の高い審査の実現
  • 10年後の市場動向を見据え、持続可能な成長を支える戦略的視点の提供
  • 各国の文化的、文明的背景を踏まえた審査
 スポンサー、VC側
  • アワード独自のROI指標による効果評価
  • ベンチャー(起業)市場の活性化
  • 新たな競争原理による市場の活性化
  • ブランディング効果の最大化と社会的評価の向上
  • 投資、M&A、メンター制度などの手法を通じ、ベンチャー市場の持続的成長を促進
  •  スポンサー、VCのランキングによるROIの更なる改善

生成AIに触発されたアイディアやスタイルによる事業創造が加速するこれから、従来と一線を画するゼロベースでのパーパス(社会的意義)とコンセプト(具体的な価値)を柱とし、大量の応募を効率よく評価・審査する生成AIソリューションを併せ持つインキュベーション志向の強力かつ創造的なハブが求められます。

3-1.アワードハブの要件

これからのアワードハブの要件は、

①成長性と収益性を適切に管理する事業組織であること

②DXや生成AI等、最新技術を活用したスタートアップにとって魅力的な事業展開を行うこと

③アワードのベストプラアクティスとして波及効果をもたらすこと

④海外アワードより競争優位であること

が挙げられます。

3-2.国内表彰事業の成功例

表彰事業の形態を刷新し、事業として大きく成長させた成功例として「表彰事業の形態を刷新し、事業として大きく成長させた成功例として「日経統合報告書アワード」があります。

ファンドマネージャー、アナリスト、学識経験者によるポートフォリオ評価および最終討議審査、応募者への審査結果フィードバックおよびプロモーションを特徴に、応募費用は80万円(2024年)となっています。因みに「日経統合報告書アワード」は専用システムを構築し、応募データ、評価・審査データを一元管理しています。


3-3.海外表彰事業の事例

海外のGLOBAL STARTUP AWARDSは、2012年に設立された世界最大の独立系スタートアップコンテストおよびコミュニティでありXO.company(本社デンマーク)が100% 所有しています。設立以来85,000件以上のノミネート※自薦/他薦、応募無料)、審査プロセスの一環である一般投票には 50 万人超の人々が参加、SMは300,000人以上、ニュースレターの購読者数は 10,000人以上、12の地域に分かれて活動しており急速に拡大し続けています。
また、スタートアップの優れた特許を表彰する制度として国内のIP BASE AWARDと同様に、海外ではWIPO Global Awards(6カ国語対応)が開催されており、両者の比較から日本の表彰事業の遅れが一目瞭然です。WIPO Global Awards(6カ国語対応)が開催されており、両者の比較から日本の表彰事業の遅れが一目瞭然です。WIPO Global Awards(6カ国語対応)が開催されており、両者の比較から日本の表彰事業の遅れが一目瞭然です。WIPO Global Awards(6カ国語対応)が開催されており、両者の比較から日本の表彰事業の遅れが一目瞭然です。

3-4.アワードハブの展望

スタートアップを経済活性化、新市場創出の柱に据えた経済政策は、欧米が先行し日本が追随する格好になっており、現在、国内では喫緊の最重要課題になっています。乱立気味のアワードやスタートアップ支援ですが、潜在性の高いスタートアップの発掘やスタートアップ予備軍の育成は、量的、質的に著しく不足している状況です。
多くの起業家はビジネス経験が乏しく、支援者はスタートアップの育成経験、実績が少なく、スポンサーやVCは目利き力が問われ、リスクテイクが困難です。
この状況のブレークスルーには、起業家精神を深化、事業テーマを琢磨、成長する起業家を増やし、起業家とテーマの知見を深め、共に成長する支援者を増やし、量的、質的な数の増加からスポンサー、VCのROIを最大化する様な、三者すべてが革新志向、ベンチャー志向、競争、共創志向で取り組める間口の広い魅力的なアワードハブが必要です。

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