評価は、学術的領域でもオンラインのコメント評価やスポーツの採点評価の様な非学術的領域でも、日々の生活や仕事の一部になっています。そんな評価ですが、評価の観点が異なれば、そこから導かれる結果も異なります。
評価が自己責任の範疇内であれば問題ありませんが、複数の表彰部門があり様々な応募内容がある表彰事業において、評価方法が明確になっておらず、評価結果に齟齬が生じる場合は問題です。
ルーブリックは、「評価の観点」、「評価の基準」および「指標」を作成したガイドライン(評価ツール)です。ルーブリックを作成し評価・審査に活用することで、審査員の偏向や主観、先入観を排した、より適切な判断が可能になります。
「評価の観点」を定めている表彰事業は多くありますが、「評価の基準」および「指標」を作成し、審査の品質を確保している例は多くありません。急速な技術進化、市場、社会の変化、文化の多様性等を背景に、よりバラエティに富む応募内容が増える現在、評価の客観性、透明性、一貫性の確保、効率アップにルーブリックは最適です。また、ルーブリックの運用方法を工夫することで、応募者および応募内容のレベルアップ、さらに評価フィードバックも可能になります。
ルーブリック概要
ルーブリックは、学校、大学、学術機関等で作成、使用され始め、その後、課題、製品、プロジェクト、また芸術作品のパフォーマンス評価に活用が広がっています。ルーブリックは、成績評価と順位付けを、よりシンプルかつ透明性が高く、公平なものにします。
ルーブリックは採点評価にとどまらず、提出者(表彰事業の応募者)にとっては、評価基準を念頭に提出物(応募内容)を作成でき、その品質を高められます。
ルーブリックは通常、次の3つから構成されます。
- 提出物の主要な要素を説明するパフォーマンス基準
- パフォーマンスのレベルを識別するための評価尺度
- 各パフォーマンスレベルの例や具体的な説明を提供する指標
学校での適用例
The Art of Education University 5 Types of Rubrics to Use in Your Art Classes
関西大学 ルーブリックの使い方ガイド
ルーブリックを作成する方法
1. 評価の目的を明確にする
評価の目標を決定すると、評価基準をどの程度詳細にすべきか、また、その評価基準に最適なルーブリックのタイプは何かが見通せます。
【評価の目標を明確にするチェックポイント】
評価の役割は何ですか?
パフォーマンスをどのように評価しますか?
最終的な成績を1つ付けるか、複数の基準に基づいて複数の細かい成績を付けるか?
優れた、許容できる、または標準以下のパフォーマンスとはどのようなものですか?
提出物に対してどのようなフィードバックをしますか?
2. ルーブリックのタイプを決める
ルーブリックは大きく4種類あり、どれを使用するかは、評価する内容と評価方法によって異なります。
a. 総合的な評価基準
総合評価のルーブリックは、すべての基準が単一のスコアとして評価される評価スケールを使用します。スコアは数値または説明になります。
説明として使える言葉としては、poor(悪い)、satisfactory(満足)、good(良い)、excellent(優れている)などがあります。評価者が一連の数字(1 から 5 など)を使用することを選択した場合は、各スコアに期待値を割り当てます。
デメリット:作品に対する詳細なフィードバックが得られない場合、また、応募内容のレベルが異なる場合、特定のスコアを選択するのが難しい場合があります。
b. 分析的評価基準
分析的ルーブリックは、通常使用される標準のグリッドルーブリックで、明確で詳細なフィードバックを提供するのに最適なルーブリックです。評価尺度を使用して各基準を個別に評価し、評価尺度が最上行に表示され、各基準が左端の列にリストされるグリッドまたは表を形成します。強みや弱みの領域に関するフィードバックを提供し、各基準に重みを付けて相対的な重要性を反映させることができます。
デメリット:作成が難しく、明確に定義されていないと一貫性を欠きます。
c. 汎用ルーブリック
分析的ルーブリックは、通常使用される標準のグリッドルーブリックで、明確で詳細なフィードバックを提供するのに最適なルーブリックです。評価尺度を使用して各基準を個別に評価し、評価尺度が最上行に表示され、各基準が左端の列にリストされるグリッドまたは表を形成します。強みや弱みの領域に関するフィードバックを提供し、各基準に重みを付けて相対的な重要性を反映させることができます。
デメリット:作成が難しく、明確に定義されていないと一貫して使用できません。
d. 特定課題の評価基準
特定課題のルーブリックは、特定の課題に固有の基準で評価する場合に最適です。固有の評価基準により、一貫した採点が保証され高レベルの説明責任評価に最適です。
デメリット:作品が、固有の評価基準の一部に該当しない場合、評価が難しくなります。
3. 評価の観点を決定する
評価の観点を決定する上で、ベンチマークスコアを検討する必要があります。
【評価の観点を明確にするチェックポイント】
- 作品の品質評価において重要な観点は何ですか?
- 作品にはどのような証明(認定)が必要ですか?
- それらは測定できますか?
- それらは互いに異なるものですか?
作品で評価したい観点をリストアップし、必須の基準を決定します。基準は最大7つまでとします。基準が多すぎると、ルーブリックの使用が困難になります。
使用する観点は、評価する予定の結果と関連している必要があります。たとえば、絵画のコンテンツを評価する場合は、コンテキスト、使用されている素材、線、形状、コントラスト、色の調整を評価することができます。または、スピーチのコンテンツを評価する場合は、内容、構成、話し方、言語に基づいて評価する必要があります。
4. 評価尺度を作成する
観点を決定したら、評価尺度のスコアを決定します。
評価尺度は通常、いくつかのパフォーマンスレベルで構成され、説明ラベルは数値 ( 1、2、3、4、5 )、アルファベット ( A、B、C、D、E )、または言葉 (不十分、基本、熟練、上級) になります。
【評価尺度を明確にするチェックポイント】
定義可能な尺度を特定する
数字、アルファベット、説明ラベルのどれを使用するかを決める
説明的なラベルを選択する場合、どのような言葉が最も適切かを判断する
5. 品質指標を作成する
次に、各尺度に対する評価のパフォーマンス品質を定義します。ルーブリックの各尺度で期待されるパフォーマンスの指標を作成します。指標は、すべての応募者が最高レベルを目指すように促す必要があります。これらの指標は、応募者があなたの期待と、その期待に関する応募内容のパフォーマンスを理解するのに役立ちます。
【品質指標を明確にするチェックポイント】
- 測定可能な要素を説明する
- 尺度全体で同一の言葉、表現を使う
- 尺度がどの程度満たされているかを示す
指標はすべてのパフォーマンスが記述されている必要があります。尺度は基準の重要性の違いではなく、品質の違いを示す必要があります。
6. ルーブリックをテストする
製品を試用しなければ、創造的なプロセスは完全には完了しません。ルーブリックをテストして、ルーブリックがどの程度機能するかを確認し、目的に合致しているかどうかを判断します。同僚と一緒にルーブリックを確認します。熟練した目で確認し、フィードバックを求めます。フィードバックは、プロセスを完璧にするのに役立ちます。
審査員には応募内容を評価するための信頼できるツールが必要です。適切な採点基準は、効果的な評価プロセスの鍵であり、上記で概説した手順に従うことで、ストレスなく採点基準を作成できます。
Award Forceなら、ルーブリックを容易に作成し活用できます。
当blogは、Award ForceのHow to create a rubric for portfolio assessment に加筆、編集しています。