Award 100s DXレビューレポート・サマリー編

mo4ma
04.12.23 03:46 PM コメント

欧米を中心に応募者、主催者、審査員、スポンサー等関係者のパフォーマンスを飛躍的に高める表彰事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展しています。

今回、国内の表彰事業の現状把握、課題の共有、DXの推進を目的に、大賞、アワード、コンテスト等を実施しているさまざまな表彰事業を対象に、「第1回Award 100s DXレビュー」(2023年8月8日~9月30日)を実施しました。

レビューは、表彰事業のDXレベルの評価に際して4基準(エントリー/審査/表彰/パフォーマンス)、計18項目を定義、表彰事業サイトの掲載内容および関係者の申請内容をもとに100件の表彰事業をスコア評価しました。

レビュー項目および配点は以下の通りです。

なお、当レビューは、表彰事業の開催期間中、期間外に関わらずサイトの掲載内容および関係者の申請内容(代理申請を含む)をもとに実施しており、回答が十分でない項目などからスコア評価が低く算定されているケースがあります。
基準項目項目
エントリー60
 表彰制度の情報発信・告知方法 10
 表彰制度、応募方法の説明 15
 応募受付方法 25
 応募者との連絡方法 5
 応募者の利用デバイスの考慮 5
審査 60
 審査方法 15
 審査体制 10
 評価基準 15
 選定方法 20
表彰40
 応募内容の公開 10
 評価内容のフィードバック 10
 表彰、受賞内容の紹介 10
 表彰式の開催方法 10
パフォーマンス 40
 応募件数 10
 賞金総額 10
 応募料金 10
 言語対応5
 支援組織 5
 満点 200

2.TOP10表彰事業

評価は、A+が140スコア以上、A:130以上、A-:120以上、B+:110点以上、B:100点以上、B-:100点未満として順位付け、TOP10の表彰事業(大賞、アワード、コンテスト等)は以下の結果となりました。
No表彰事業名評価
 1グッドデザイン賞A+
2 日経統合報告書アワードA
 3キッズデザイン賞A-
 4日本ゲーム大賞B+
 5BUG Art AwardB+
 6LEXUS DESIGN AWARDB+
 7S-BoosterB+
 8TOKYO MIDTOWN AWARDB+
 9日経ソーシャルビジネスコンテストB+
 10Art Award IN THE CUBE 2023B
  10アジアデジタルアート大賞展FUKUOKAB
  10日本経営品質賞B
  10キャンパスベンチャーグランプリB
  10イチBizアワードB
  10Change Maker AwardsB
  10INTERNATIONAL STUDENTS CREATIVE AWARDB
  10宣伝会議賞B
  10東京金融賞B
  10WIPOグローバル・アワードB
  10コージェネ大賞B
  10全日本DM大賞B
  10D&I AWARDB
  10全国高校生 何でも、アリ。Creative Award 2023B

3.コメントサマリー

3.1 エントリー基準

専用サイトを開設している表彰事業は68件、うちSNS活用は1/2の34件に上りました。事業運営者の総合サイトに表彰メニュとして開設されている表彰事業は30件、うちSNS活用は1/3の10件に上りました。SNS活用は計44件に及んでおり、表彰対象が個人/法人を問わず、情報発信・告知方法にSNSが定着しつつあります。

表彰制度、応募方法についてWebサイトの該当ページで説明している表彰事業は34件、PDF等ファイルも用意しているサイトが半数弱の44件、さらに紹介動画で説明しているサイトは18件に上りました。PDF等ファイルの多くは配布用冊子が流用されていました。
応募受付方法として、もっとも充実した受付方法である「ID登録+Webシステム」は16件、Webシステムで受付することで、審査プロセスにおける書類・視聴選考の分担や応募項目ごとの評点が可能になる等、応募数が増加している表彰事業で多く採用されていました。
応募者の応募しやすさを優先し、簡易な受付方法として定着しているWebフォームを活用した「Webフォーム+ファイルアップ」や「Webフォーム入力のみ」は合わせて過半数の53件に上りました。
「WORD/EXCEL等メール送信」は長年採用されている形式で、10年以上前より開催されている表彰事業を中心に27件で採用されていました。受付の事務負担や旧来の審査プロセス等、表彰事業の運営が旧態依然のまま現在に至っています。

3.2 審査基準

審査方法は「書類・視聴選考のみ」が過半数の59件で、提出された内容のみが評価・審査対象になっていました。
「書類・視聴選考」に加え「面談・ヒアリング」や「プレゼン・現地視察」等を実施している表彰事業は41件で、段階的に候補者を絞り込んでいく形式となっています。この形式は、各応募者、審査員の調整や各段階の評価結果の集計等が課題であり、DXレベルが作業効率に大きく影響します。

審査体制に関して「審査体制+主な審査員開示」両方の開示は59件、いずれかの開示と合わせると74件に上りました。審査員プロフィールの開示を始め、表彰部門の専門分野の有識者が審査委員長を務める体制が多く見られました。
応募件数に相応する審査体制および審査員数を開示している表彰事業は少なく、応募案件をどの様に審査員に割り振っているのか、一人当たりの審査員がこなすのは困難と思われる小人数の審査体制も散見されました。
評価基準に関しては「基準項目を明示」が過半数の55件でした。「基準を非明示」が18件あり、評価・審査の透明性、公平性や厳格性の観点より信頼を損ねる格好になっています。他方、基準項目に詳細説明を加えている「基準項目・詳細を明示」は23件あり、応募者にとって適切な応募申請(書類作成)、並びに審査員による客観的な評価を促しています。
「基準項目、詳細・配点明示」は、それに応じた評価を厳格に行っていることの証左ですが、僅か4件でした。

3.3 表彰基準

応募内容の公開に関して「非公開」が66件と、多くの表彰事業に見られる形式でした。一方「最終選定の応募内容を公開」している表彰事業は29件、少数ながら「全応募内容を開示」が5件あり、応募者にとって応募内容を多くの人にアピールできる機会を提供しています。
評価内容のフィードバック有無に関して「当落結果のみの通知」が82件で、多くの表彰事業に見られる形式でした。
「ファイナリスト等に通知」は13件で、最終の選考プロセスで少数の応募者に限り評価内容がフィードバックされていました。当落に関わらず「全応募者へ通知」している表彰事業は、僅か5件でした。
評価内容フィードバックは、運営上負担のかかる取組みであり、デジタルトランスフォーメーションされていない現状を浮き彫りにしています。

表彰、受賞内容の紹介方法は「Webサイトの受賞ページ」が57件で、「PDF等受賞ファイル」と合わせ75件に上り、多くの表彰事業に見られる形式でした。また、「紹介動画」は22件ありますが、その多くは視聴回数が少なくプロモーション効果が疑問視されます。

3.4 パフォーマンス基準

応募件数は100件未満が20件、100~200件未満の19件、「非公開」の25件と合わせ計64件に上り、応募数が200件未満に留まる小中規模の表彰事業が多く、他方、300件以上は27件で、営利組織が主催する表彰事業に多く見られました。
応募件数は、潜在応募件数、表彰事業の認知度、表彰内容の魅力、ステイタス等、様々な要因が絡んでいますが、応募件数が低迷している表彰事業はブランドの確立が課題と目されます。

賞金に関して「無し」が約半数の52件で、企業や製品を表彰する表彰事業に多く見られました。「300万円未満」、「300万~500万未満」計33件は、いずれも賞金にも増して受賞の名誉が応募動機と目されます。一方、「500~1,000万未満」の6件および「1,000万円以上」の7件は、いずれも個人が表彰対象で、表彰事業の高いステイタスから賞金を応募動機に結びつけています。

応募料金は、「無料」が86件と多数に上りました。有料のうち「5,000円未満」と「5,000~1万円未満」の計5件は個人表彰の事業、「1万円以上」の9件は法人表彰の事業でした。

言語対応に関して「日本語のみ」が79件と多数に上りました。「日本語+英語」が15件、「多言語」が6件で、グローバルに存在価値のある表彰事業は少ない現状となっています。

4.DX100レビュー表彰事業の属性

主催者の組織種別

今回レビュー対象とした表彰事業100件の「主催者の組織種別」の集計結果は以下の通りです。
分析 》
営利組織の29件に比して、非営利組織(社団法人、協会、学会、学校など)と官公庁・自治体を合わせ69件に上り、公的な組織で表彰事業が多く実施されています。
表彰制度の主目的は、①多大な功績を称え、文化、文明、社会やの進歩、啓発を促すもの ②優れた商品やサービスを表彰し、市場の注目度を高め、その成長、普及を後押しするもの ③未知のスタートアップ企業の新事業や画期的な研究開発等を表彰し、信用力を高め(お墨付き)、成長のきっかけとするもの に大別されますが、公的組織では①および③、営利組織は②を目的とする表彰事業が多い傾向があります。

開催回数

今回レビュー対象とした表彰事業100件の「開催回数」の集計結果は以下の通りです。
分析 》
開催が「1回」と「2~5回未満」を合わせ32件、「5~10回」と「10~15回未満」を合わせ38件、「15回以上」が30件実施されており、15回以上は表彰事業として永続的なもの、他方、5回未満の表彰事業は、市場や産業の黎明期にスタートしたもの、10~15回未満の表彰事業は、市場や産業の成長期にある表彰事業が多い傾向があります。

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