Award 100s DXレビューレポート・詳細編1

mo4ma
04.12.23 03:47 PM コメント

エントリー&審査

5.各基準の項目分析

エントリー基準

表彰制度の情報発信・告知方法

「表彰制度の情報発信・告知方法」は、応募者が表彰事業に接する最初のプロセスであり、応募のきっかけ、潜在応募者の関心喚起から、応募数の増減に影響します。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
専用サイトを開設している表彰事業は68件で、開催期間や開催時期を問わず通年でサイトが維持運営されています。事業運営者の総合サイトに表彰メニュとして開設されている表彰事業は30件で、表彰対象が限定的な表彰事業に多く見られました。

SNS活用は専用サイトの34件、総合サイトの表彰メニュの10件の計44件に及んでおり、表彰対象が個人/法人を問わず、情報発信・告知方法にSNSが定着しつつあります。もっとも、発信内容はWebサイトのお知らせ欄と同様な内容が多く、また、発信頻度も少なく必ずしも効果的な取り組みになっていません。

表彰制度、応募方法の説明

「表彰制度、応募方法の説明」は、表彰内容の適切な理解から応募動機を高め、応募条件の適否の判断、検討を促すプロセスとして、応募数の増減に影響します。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
Webサイトの該当ページで説明している表彰事業は34件、PDF等ファイルも用意しているサイトが半数弱の44件、さらに紹介動画で説明しているサイトは18件に上りました。潜在応募者の多い表彰事業や応募者増を旨とする表彰事業は充実したコンテンツを用意していますが、応募受付を促すUIデザイン、コンテンツ設計は不十分なものが散見されます。また、PDF等ファイルの多くは配布用冊子が流用されており、スマートフォンでは参照しづらいものとなっています。

応募受付方法

「応募受付」は、応募者が表彰事業に関わる最重要プロセスであり、表彰内容の印象、難易度、応募意欲に関わり、作成内容の明確性とも相まって応募数の増減に影響します。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
もっとも充実した受付方法である「ID登録+Webシステム」は16件、Webシステムで受付することで、審査プロセスにおける書類・視聴選考の分担や応募項目ごとの評点が可能になる等、応募数が増加している表彰事業で多く採用されていました。
応募者の応募しやすさを優先し、簡易な受付方法として定着しているWebフォームを活用した「Webフォーム+ファイルアップ」や「Webフォーム入力のみ」は合わせて過半数の53件に上りました。この方式の場合は、審査プロセスのDXが限定的であるため、応募数が200件程度までの表彰事業で多く採用される傾向があります。

「WORD/EXCEL等メール送信」は長年採用されている形式で、10年以上前より開催されている表彰事業を中心に27件で採用されていました。受付の事務負担や旧来の審査プロセス等、表彰事業の運営が旧態依然のまま現在に至っています。

一方、「ID登録+Webシステム」や「Webフォーム+ファイルアップ」の応募の記載内容はWORD/EXCELファイル形式での作成内容とあまり変わっておらず、DXの観点から刷新されていない模様です。また「Webフォーム入力のみ」では、応募しやすさ(作成の容易性)を優先するあまり評価・審査において記載内容が不十分と思われる表彰事業も散見されました。

締め切り間際に応募が集中する課題について、早期エントリーを促進する施策を実施している表彰事業は見受けられませんでした。

ポイント 》
  • 応募受付方法から、表彰事業の規模、運営プロセスのDXレベルが分かる。
  • 応募受付方法から、表彰事業のブランド力(認知度、ステイタス等)が判る。
  • 応募受付方法から、表彰事業運営者のデジタルリテラシーレベルが解る。

応募者との連絡方法

「応募者との連絡方法」は、応募者が表彰事業との関係性を深めるプロセスであり、表彰内容の印象や信用を左右し、応募数に影響します。
集計結果は以下の通りです。
問合せWebフォーム+ 電話・メール 17
電話・メール 59
問合せWebフォーム 22
問合せWebフォーム+チャット、LINE等ツール 2
分析 》
電話・メールが59件、問合せWebフォームも用意しているサイトが17件、合わせて76件に上りました。一方、問合せWebフォームのみは22件で、応募数の多い表彰事業に多く見られました。また、メールのみのサイトも散見されました。チャットやLINE等のツール利用は2件とごく少数に留まっています。

応募者の利用デバイスの考慮

「応募者の利用デバイスの考慮」は、スマートフォンの参照性に関わり、応募数の増減に影響します。
集計結果は以下の通りです。
PC, スマートフォン 75
PC 25
分析 》
スマートフォン表示も考慮されたWebサイトは75件に上りました。スマートフォン表示未対応のWebサイトも早晩リニューアルされると予想されます。なお、TOPページのみがスマートフォン表示対応の中途半端なサイトも散見されました。

【審査基準】

審査方法
「審査方法」は、表彰内容の専門性等に応じて「書類・視聴選考のみ」から「プレゼン・現地視察」まで様々な段階が設けられ評価・審査が行われており、表彰事業者の適切な選定ノウハウが問われます。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
審査方法は「書類・視聴選考のみ」が過半数の59件で、提出された内容のみが評価・審査対象になっていました。
提出書類は、説明内容に加えて画像や動画等を追加編集する形式が多く、コンテンツの充実度、編集校正の巧拙、品質が評価に影響する格好になっています。
「書類・視聴選考」に加え「面談・ヒアリング」や「プレゼン・現地視察」等を実施している表彰事業は41件で、段階的に候補者を絞り込んでいく形式となっています。この形式は、「書類・視聴選考」だけでは得られない情報や選定に際しての着目点や見落とし点等を得られる利点がありますが、各応募者、審査員の調整や各段階の評価結果の集計等が課題であり、DXレベルが作業効率に大きく影響します。
審査に入る前段階として応募内容の適否をレビューするフローを設けている表彰事業は見受けられませんでした。
審査体制
「審査体制」は、審査結果の信頼性、権威に関わり、評価・審査の透明性の観点からも適切な開示が求められます。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
「審査体制+主な審査員開示」両方の開示は59件、いずれかの開示と合わせると74件に上りました。審査員プロフィールの開示を始め、表彰部門の専門分野の有識者が審査委員長を務める体制が多く見られました。半面、非開示は26件で、審査方法が書類選考のみの表彰事業に多い傾向があります。

応募件数に相応する審査体制および審査員数を開示している表彰事業は少なく、応募案件をどの様に審査員に割り振っているのか、一人当たりの審査員がこなすのは困難と思われる小人数の審査体制も散見されました。
各審査方法における審査体制や審査員の役割について説明を加えている表彰事業は見受けられませんでした。
評価基準
「評価基準」は、どの様な観点で、どの様に評価されるか、評価・審査の公平性、厳格性が担保されているか、また、応募内容や審査プロセスとの関係性、整合性が問われます。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
「基準項目を明示」が過半数の55件でした。また、「基準を非明示」が18件あり、表彰部門名や応募内容から評価基準が暗示、推察される場合もありますが、評価・審査の透明性、公平性や厳格性の観点より信頼を損ねる格好になっています。他方、基準項目に詳細説明を加えている「基準項目・詳細を明示」は23件あり、応募者にとって適切な応募申請(書類作成)、並びに審査員による客観的な評価を促しています。
「基準項目、詳細・配点明示」は、それに応じた評価を厳格に行っていることの証左ですが、僅か4件でした。

評価・審査の公平性、厳格性には、客観的評価、定量的評価が可能な評価ルールの規定が必要ですが、評価ルールを規定している表彰事業は甚だ少なく、評価方法が刷新されていない現状が垣間見られます。

ポイント 》
  • 評価基準から、評価・審査の公平性、厳格性が解る。
  • 評価ルール規定の充実度から、表彰事業の規模、評価プロセスのDXレベルが分かる。
  • 評価基準から、表彰事業のブランド価値(希少性、ステイタス等)が判る。
選定方法
「選定方法」は、どの様な人が、どの様に形式で選定しているか、評価・審査の客観性、多様な視点の確保が問われます。
集計結果は以下の通りです。
分析 》
「審査員のみ」が19件、「審査委員会」の合議制68件と合わせて多数の87件に上りました。
スポンサーや一般/会員投票は計13件と少数ですが、営利組織が主催する大規模でDXが進展している表彰事業で多い増加傾向にあり、応募者にとって審査員とは異なる立場の方々から評価を受ける機会となっています。
スポンサーや一般/会員投票による選定は、多くの関係者を巻き込んだオープンな選定方法として表彰事業者、スポンサー、応募者にとってアピール効果の高い取り組みであり、表彰事業のブランド戦略として今後の普及が期待されます。

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